ダイバーシティ研修とは?よくある3つの課題と具体的な実施手順を解説

女性活躍推進や外国籍人材の受け入れを進める企業が増える一方で、「採用しても定着しない」「現場の理解が追いつかない」といった課題を抱える企業も少なくありません。こうした課題を解決するために、多様な人材が力を発揮できる職場づくりを支援するのがダイバーシティ研修です。
この記事では、8,000社以上の研修実績を持つパソナHRソリューションが、ダイバーシティが進まない職場によくある課題や研修の実施手順、形骸化させないためのポイントを解説します。ダイバーシティ研修の導入で職場に変化が生じた事例もご紹介いたします。
目次[非表示]
- 1.ダイバーシティ研修とは?
- 2.ダイバーシティが進まない職場によくある3つの課題
- 3.ダイバーシティ研修の目的
- 3.1.管理職のマネジメント力を高める
- 3.2.ハラスメントを防ぐ
- 3.3.多様な人材の活躍を後押しする
- 3.4.公平な評価と登用につなげる
- 4.課題別に選ぶダイバーシティ研修のテーマ5選
- 4.1.管理職|ダイバーシティマネジメントで多様な部下を活かす
- 4.2.女性活躍|管理職へのためらいや評価の思い込みをなくす
- 4.3.外国籍人材|言葉や職場文化のすれ違いを減らす
- 4.4.シニア世代|年齢による思い込みをなくし、経験を活かす
- 4.5.性的少数者(LGBT)|安心して働ける環境を整える
- 5.ダイバーシティ研修の実施手順
- 6.「パソナHRソリューション」は、課題に合わせて研修を設計
- 7.ダイバーシティ研修で職場が変わった事例
- 8.まとめ|ダイバーシティ研修は課題に合わせて選び、形だけで終わらせないことが大切
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ダイバーシティ研修とは?
ダイバーシティ研修とは、社員一人一人が持つ違いを認め合い、組織の成長や新たな発想へと活かすための教育プログラムです。
近年はダイバーシティ(Diversity)だけでなく、エクイティ(Equity:公平性)、インクルージョン(Inclusion:包摂性)を含めた「DE&I」が重視されています。単に多様な人材が存在する状態ではなく、一人一人が能力を発揮し、組織成果につながる状態を目指すことが重要です。
ここでの違いには、年齢・性別・国籍といった目に見える要素(属性的多様性)だけでなく、これまでの経験・価値観・働き方・性的指向など、目に見えない背景(認知的多様性)も含まれます。
こうした多様性を、ただ受け入れるだけでなく、互いが力を発揮し合える状態へと変えていくのがダイバーシティ研修の狙いです。対象は経営層から一般社員まで幅広く、立場によって学ぶべき内容も異なります。だからこそ、階層ごとの課題に合わせて設計する必要があるのです。ダイバーシティの基礎知識や、推進のメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
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ダイバーシティが進まない職場によくある3つの課題
ダイバーシティが進まない職場によくある課題として、主に以下の3つが挙げられます。
- 多様な人材を採用しても定着しない
- 管理職によって部下への対応に差が出る
- 世代や立場の違いからすれ違いが起きる
多様な人材を採用しても定着しない
多様性を意識して採用を進めても、入社した人が力を発揮できる環境が整っていなければ、早期離職につながってしまいます。背景にあるのは、受け入れる現場の準備不足です。配慮や支援が現場任せになっていたり、気軽に相談できる相手がいなかったりすると、本人は孤立を感じ、「ここは自分の居場所ではない」と感じやすくなります。企業は採用の入り口を広げるだけでなく、入社後に活躍を支える体制まで整える必要があります。
管理職によって部下への対応に差が出る
同じ会社でも、上司が変わると部下への接し方が大きく変わる、という状況は珍しくありません。ある管理職のもとで活躍できていた社員が、異動先ではうまく力を発揮できなくなる、といったこともあるでしょう。
これは、多様な部下をマネジメントする力が、個々の管理職の経験や感覚に委ねられていることで起こります。とくに、育児中の社員や外国籍の部下への接し方など、正解がひとつではない場面では、対応の差が表れやすくなるのです。管理職が共通の視点や手法を持たないままでは、部下の働きやすさが上司次第で左右されてしまいます。
世代や立場の違いからすれ違いが起きる
年代やライフスタイル、働き方に対する価値観が異なると、同じ職場でも認識のずれが生まれやすくなります。「これくらいは当然」という感覚が人によって違い、悪気のない一言が相手を戸惑わせることもあるでしょう。こうしたすれ違いは、どちらかが悪いというより、互いの前提を知らないことから生じます。
例えば、時短勤務の同僚がどのような事情を抱えているか共有されていないと、「早く帰る人」という表面だけで受け取られかねません。立場の異なる人同士が理解し合う機会がなければ、小さな溝が積み重なっていきます。
ダイバーシティ研修の目的
ダイバーシティ研修の目的は、主に以下があげられます。
- 管理職のマネジメント力を高める
- ハラスメントを防ぐ
- 多様な人材の活躍を後押しする
- 公平な評価と登用につなげる
パソナHRソリューションでは、「ダイバーシティマネジメント研修」や「女性活躍推進研修 女性リーダー育成」、「日本式ビジネスマナー理解研修」など、ダイバーシティ推進に関する研修を幅広く提供しています。ダイバーシティ推進の全体像を先に押さえておきたい人は、以下の資料もあわせてご活用ください。
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管理職のマネジメント力を高める
前提や価値観の異なる部下が増える中で、これまでの経験や勘だけに頼ったマネジメントでは、対応に限界が出てきます。育児中の社員や外国籍の部下など、一人一人事情が違う相手に、どう向き合えばよいか迷う場面も少なくありません。
研修では、こうした場面で役立つ具体的な視点や接し方を学びます。特に、無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に気づく機会は重要です。「この仕事は難しいだろう」といった決めつけが、気づかないうちに本人の成長機会を奪うこともあります。管理職が共通の考え方を身に付ければ、部下への対応が上司次第でばらつく状態も防げるでしょう。多様な部下を活かす管理職を育てる具体的な方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
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ハラスメントを防ぐ
多様な人材が働く職場では、悪意のない言動が相手を傷つけることがあります。性別や年齢、価値観の違いへの理解が浅いと、本人は冗談のつもりでも、受け取る側にはハラスメントと感じる場合があるのです。
こうした行き違いを防ぐうえで、ダイバーシティ研修は有効です。何がハラスメントにあたるかを知識として押さえるだけでなく、なぜ相手が不快に感じるのか、その背景にある価値観の違いまで理解することで、日々の言動を見直すきっかけが生まれます。特に、自分では気づきにくい思い込みや、世代によって異なる「当たり前」の感覚に目を向けることが、予防につながります。
なお、ハラスメント対策は企業の努力目標ではなく、法律上の義務です。改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)により、2022年4月からは中小企業も含めたすべての企業に、防止措置を講じることが求められています。
※出典:厚生労働省『職場におけるハラスメントの防止のために』
多様な人材の活躍を後押しする
制度を整えても、多様な人材が実際に力を発揮できるとは限りません。周囲の理解が伴わなければ、本人が遠慮したり、意見を出しにくいと感じたりします。だからこそ、社員同士が互いの背景を知る機会が必要です。ダイバーシティ研修は、社員一人一人が互いの違いを理解し、支え合える土台をつくります。
例えば、時短勤務の同僚がどのような事情を抱えているかを知れば、「早く帰る人」という表面的な受け止めは変わっていきます。互いの背景を知ることで、協力し合える関係につながるのです。さらに、多様な視点が交わる職場では、これまで気づかなかった発想が生まれやすくなります。同じような経歴の人だけでは出てこなかったアイデアが、異なる経験をもつ人の一言から動き出すこともあります。
公平な評価と登用につなげる
評価や登用の場面では、性別や年齢、国籍などによる無意識の思い込みが判断に入り込むことがあります。誰にどの仕事を任せるかが、実力ではなく印象に左右されてしまうことも少なくありません。研修では、評価する側が自分の判断の癖に気づいたうえで、何を基準に評価するのかを見直します。基準が言葉として共有されていれば、人によるばらつきも抑えられ、実力に応じた評価に近づきます。
あわせて大切なのが、挑戦できる仕事や学びの機会を誰に任せるかという視点です。育児中だから負担の大きい仕事は避けよう、といった配慮のつもりの判断が、気づかないうちに偏りを生むこともあるでしょう。誰にどのような経験を積んでもらうかを意識して考えることで、成長の機会を公平に確保できます。評価・登用・配置といった日々の人事運用から思い込みを取り除いていくことが、多様な人材が力を発揮する土台になります。
課題別に選ぶダイバーシティ研修のテーマ5選
ダイバーシティ研修の代表的なテーマとして、以下の5つがあげられます。
- 管理職
- 女性活躍
- 外国籍人材
- シニア世代
- 性的少数者(LGBT)
管理職|ダイバーシティマネジメントで多様な部下を活かす
多様な部下をもつ管理職ほど、これまでのやり方が通用しにくくなります。育児中の部下や外国籍の部下、年上の部下など、抱える事情も価値観もさまざまだからです。全員に同じ接し方をしていては、一人一人の力を引き出せません。
ダイバーシティマネジメント研修では、多様な部下と向き合う考え方と、日々の関わり方を学びます。たとえば、1on1で相手の状況や希望を引き出す聞き方、経験や事情に応じた仕事の任せ方、受け取り方の違いを踏まえた伝え方などです。
あわせて柱となるのが、自分の判断の癖に気づくことです。「残業できる人に任せたほうが早い」「この人にはまだ難しいだろう」といった判断が、部下の成長の機会を狭めていないかを振り返ります。管理職の関わり方が変われば、職場の空気そのものが変わります。ほかのテーマに取り組む際も、管理職の理解があるかどうかで、研修の効果は大きく左右されるでしょう。
女性活躍|管理職へのためらいや評価の思い込みをなくす
女性社員の活躍を進める上で、昇進への不安やキャリア形成に対する悩み、周囲の無意識の思い込みなどが課題となる場合があります。全国的に見ても、課長相当職に占める女性の割合は12.3%にとどまり、身近にロールモデルが少ないこともキャリアをイメージしにくくしています。
女性社員向けの研修では、自分らしいリーダー像を考え、管理職への一歩を後押しするのが狙いです。例えば、昇進に踏み出せない背景にある「自分には務まらない」という不安を、他社の事例やロールモデルとの対話を通じて和らげ、自信につなげていきます。
同時に、管理職を対象に、「女性に責任ある仕事は難しい」といった無意識の思い込みを見直す研修も効果的です。本人への働きかけと、周囲の意識改革の両面から、女性の活躍を支えられます。女性活躍に取り組む意義や、企業が得られるメリットについては、以下の記事で解説しています。
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※出典:厚生労働省『令和6年度雇用均等基本調査』
外国籍人材|言葉や職場文化のすれ違いを減らす
外国籍の社員がつまずきやすいのが、言葉の壁と、日本特有の職場文化です。日本で働く外国人労働者は約257万人と過去最多を更新し、多くの職場で受け入れが進んでいます。しかし、指示の受け取り方や報連相の習慣といった暗黙のルールが共有されていないと、悪気のない行き違いが起こりがちです。
外国籍社員向けの研修では、ビジネス日本語や日本の商習慣を学び、職場になじみやすくするのが目的です。例えば、相手や立場に応じた敬語の使い分けや、電話応対・メールの書き方を、ロールプレイを交えて実践的に身に付けます。
あわせて、日本人社員が異文化への理解や外国籍人材の価値観や習慣などを学ぶことで、一方通行ではない、双方向のコミュニケーションが根づきます。外国籍社員が特に戸惑いやすい、敬語やビジネスマナー、日本のビジネス慣習については、以下の記事も参考にしてみてください。
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※出典:厚生労働省『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)』
シニア世代|年齢による思い込みをなくし、経験を活かす
高年齢者雇用安定法の改正で、企業には70歳までの就業機会の確保が努力義務となり、シニア世代が長く働く場が広がっています。一方で、「若い人の方が柔軟だ」「新しい仕事は難しいだろう」といった年齢による思い込みが、本人の意欲や活躍の場を狭めてしまうこともあるでしょう。
シニア世代向けの研修では、これまでの経験を振り返り、自分の強みや組織への貢献を見つめ直します。例えば、後進の育成や技術の継承など、シニア期ならではの役割を自分で設計し、5年後10年後を見据えた行動計画に落とし込んでいきます。「肩書きが変わると価値が下がる」といった思い込みをなくすことで、経験を活かして前向きに働き続けられるでしょう。
※出典:厚生労働省『高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~』
性的少数者(LGBT)|安心して働ける環境を整える
性的指向や性自認は外から見えにくく、当事者が職場で生きづらさを抱えていても、周囲が気づかないことがあります。悪気のない発言や、当たり前のように「異性愛」を前提とした会話が、当事者を傷つけてしまう場合もあるでしょう。こうした状況を変えるには、まず社員が正しい知識をもつことが必要です。
LGBT研修では、性的指向や性自認をめぐる基礎知識に加え、当事者が職場でどのような壁にぶつかるかを、体験談などを通じて具体的に学びます。管理職向けには、相談を受けたときの対応や、当事者が安心して声を上げられる職場づくりの視点も加わります。LGBTに関する理解が広がれば、当事者が安心して働ける空気が生まれ、本来の力を発揮しやすくなるでしょう。
ダイバーシティ研修の実施手順
ダイバーシティ研修は、実施すること自体が目的ではありません。自社の課題に合った内容を選び、受講後も学びを実務に定着させてはじめて成果につながります。研修を実施する手順は、次の4つです。
- 自社の課題を明確にし、研修の目的を決める
- 対象者に合わせて内容と手法を選ぶ
- 講師や研修会社を選ぶ
- 受講後にアンケートと行動目標で効果を確かめる
自社の課題を明確にし、研修の目的を決める
最初に取り組むべきは、自社の課題の洗い出しです。「ダイバーシティ研修をやる」と先に決めてしまうと、内容が浅く広いだけになり、現場に響かない研修になりがちです。課題を見つける手がかりは、社内のデータにあります。属性ごとの離職率や管理職比率、社員アンケートの声、ハラスメント相談の件数などを見れば、自社のつまずきがどこにあるかが浮かび上がります。
例えば「女性社員の離職が復職後に集中している」「外国籍社員の定着率が低い」など、具体的な事実がつかめれば、研修の目的は自然と絞り込めるはずです。「誰の、どのような行動が変わればよいか」まで言語化すると、選ぶべき研修が見えてきます。
対象者に合わせて内容と手法を選ぶ
目的が決まったら、研修の対象と内容を設計します。ダイバーシティ研修は全社員一律で実施すると、課題とのずれが生じる場合があります。経営層・管理職・一般社員など、対象者ごとに目的を明確にすることが重要です。
同じテーマでも、経営層・管理職・一般社員では、必要な内容が異なるためです。例えば女性活躍なら、経営層には推進方針の考え方を、管理職には無意識の思い込みへの気づきを学んでもらいます。そして女性社員本人には、キャリアを描く機会を用意するのが効果的です。
あわせて、手法も選びます。知識を伝えるだけなら講義形式やeラーニングで足りますが、行動を変えたいなら、ロールプレイやグループワークなど、受講者が自分で考えて話す形式が向いています。全社に広く届けたいのか、特定の層に深く働きかけたいのかを踏まえて、対象と手法を選び分けましょう。
講師や研修会社を選ぶ
ダイバーシティ研修は、受講者の価値観に踏み込むテーマだけに、講師の力量で効果が大きく変わります。社内に適任者がいれば内製もできますが、当事者の実情への理解や、反発が出たときの場のさばき方など、専門的な経験が求められる場面は少なくありません。
外部の研修会社を検討する場合は、自社と近い課題の支援実績があるか、内容を自社に合わせて調整できるか、研修後のフォローまで対応しているかを確認しましょう。
受講後にアンケートと行動目標で効果を確かめる
研修は、受けて終わりでは定着しません。受講直後にアンケートで理解度や気づきを確認し、あわせて受講者一人一人に行動目標を立ててもらいましょう。「部下との1on1で相手の事情を聞く時間をつくる」など、明日からできる具体的な行動に落とし込むことが大切です。
さらに、3カ月後や半年後に、行動目標の実践状況を振り返る機会を設けると、学びが日々の行動として根づいているかを確かめられます。うまくいっていない部分が見つかれば、次の研修や施策の改善につなげられます。この振り返りを繰り返すことで、研修が一過性のイベントで終わらなくなるのです。
「パソナHRソリューション」は、課題に合わせて研修を設計
ダイバーシティ研修は、自社の課題に合った設計ができるかどうかで、効果が大きく変わります。株式会社パソナHRソリューションは、研修の企画段階から企業ごとの課題を整理し、内容をオーダーメイドで設計するのが特徴です。テーマごとに、以下のような専門の研修プログラムをご用意しています。
600名を超える講師の中から、課題に合った講師が登壇します。研修の形も、階層別の集合研修からロールプレイ中心の実践形式まで、目的に応じて選択可能です。知識を伝えて終わりにせず、受講者の行動が変わることを重視したプログラム設計と、研修後の定着までの一貫した支援により、これまでに8,000社を超える企業をサポートしてきました。ダイバーシティ研修の進め方に迷ったときは、ぜひ一度ご相談ください。
ダイバーシティ研修で職場が変わった事例
パソナHRソリューションの研修を通じて、職場に変化が生まれた事例を3つ紹介します。
- 経営層から研修をはじめ、LGBTへの理解を全社に広げた事例
- 女性活躍研修で管理職へのためらいをなくし、店長への立候補につなげた事例
- 立場を超えた相互理解で、働きやすい職場づくりを進めた事例
株式会社オリエントコーポレーションでは、会長や社長を含む経営層を対象に、当事者の講師による体験談を交えたLGBT研修を実施しました。注目すべきは、研修を一度で終わらせなかった進め方です。研修の翌々月には人事制度を改定し、同性パートナーを配偶者とみなす扱いを追加。さらにその2ヶ月後、今度は全国の支店長へ研修を広げました。
制度を利用するには上席の承認が必要になるため、承認する立場の理解が欠かせないと考えたからです。研修と制度を交互に前へ進める取り組みは、職場のLGBTQへの対応を評価する「PRIDE指標」の2年連続ゴールド受賞という社外からの評価にもつながりました。
家具・インテリア専門店の株式会社かねたや家具店は、研修の前に、まず実態の把握から着手しています。全社員アンケートでは、7割を超える社員が女性活躍に前向きだと分かりました。一方、女性社員からは、挑戦したい気持ちはあっても、管理職の打診は受けたくないという本音が見えてきました。
この結果を基に、女性社員向けと管理職向けの研修を設計。女性社員はグループワークで、リーダーシップの形はひとつではないと知り、自分に合った管理職像を探ります。管理職は、女性のキャリアに対する無意識の思い込みと向き合いました。研修後に女性店長の育成施策を打ち出すと、20代から50代の4名が「トライ店長」という候補ポジションに立候補しました。現在は3カ月ごとに集まって意見を交わしながら、育成が進んでいます。
三井住友信託銀行従業員組合は、立場の違う組合員同士の相互理解を深めるため、ダイバーシティ推進講座を導入しました。特徴は、参加のしやすさを徹底して工夫した点です。組合員へのアンケートで要望の多いテーマを選び、育児をテーマにした講座は母親だけでなく父親も対象にしました。オンラインでの開催や土曜日の実施、短時間での構成など、多様な働き方でも参加できる形を整えました。
講座では、できない理由を探すのではなく解決の方法を考える「解決志向」の考え方を学び、参加者からは前向きに気持ちが変わったという声が上がっています。回を重ねるごとに男性や幅広い年代の参加が増えており、相互理解の輪が少しずつ広がっています。
まとめ|ダイバーシティ研修は課題に合わせて選び、形だけで終わらせないことが大切
ダイバーシティ研修は、多様な人材が互いの違いを理解し、力を発揮し合える職場をつくるための手段です。ただし、どの会社でも同じ研修が有効なわけではありません。自社の課題を見極めたうえで、誰に何を学んでもらうかを設計することが、研修の効果を大きく左右します。
そして、もうひとつ大切なのが、研修を形だけで終わらせない工夫です。経営層が自ら参加し、反発しにくい伝え方を心がけながら、学んだことを評価や会議の進め方にも反映していきましょう。こうした積み重ねがあってはじめて、研修は職場の変化につながります。
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