【LGBT研修導入事例】
株式会社オリエントコーポレーション

LGBTへの全社員の理解醸成を目的に、経営層から研修を実施

株式会社オリエントコーポレーション

本社所在地: 東京都千代田区麹町5丁目2番地1
設立:1954年(昭和29年)
代表:代表取締役社長 梅宮 真
業種:専門ローン/クレジットカード/リスク保証サービス
従業員数:単体 5,412人 連結 9,032人(2025年3月31日現在)
部署・役職名:ダイバーシティ推進室 室長
ご担当者氏名:白倉 里美様

(取材日:2020年12月)

背景・課題

ダイバーシティ推進を進める中で、社内に残る男女二元論や無意識の偏見に課題を感じ、安心・安全な職場づくりのためLGBT理解促進が必要に。社会的な法整備の動きも後押しとなり、経営層から研修を行う方針を決定した。

検討プロセスと施策

他社の成功事例を参考にパソナHRソリューションへ依頼し、経営層向けに基礎知識・事例・当事者の体験談を盛り込んだ研修を設計。続けて全国支店長にも研修を実施し、関連施策として家族カード対象拡大、相談窓口整備、ALLY活動、PRIDE指標獲得などを推進した。

成果と今後の取り組み

研修は高い満足度を得て社内意識が向上し、制度改定やALLY活動など施策が加速。PRIDE指標ゴールド受賞にもつながった。今後はオンライン活用や課題の継続的可視化を進め、全社員に理解を広げる取り組みを強化していく。

創業以来、信販業界のパイオニアとして、それぞれの時代のライフスタイルや決済ニーズに合わせたサービスを幅広く展開。多種多様な分野で蓄積してきたノウハウを結集し、さまざまな決済サービスをワンストップで提供しています。また、FinTechなど最新技術の導入や、海外事業の拡大など、新たな領域にも挑戦し続けています。オートローンでは業界トップシェア。クレジットカードの自社サービスは「オリコカード」。

クレジットカードをはじめとする各種金融商品・サービスを提供する株式会社オリエントコーポレーション。かねてから女性活躍や障がい者雇用に関する取り組みが行われ2016年にはダイバーシティ推進室を設置し、その活動の一環として、LGBT(※1)への理解を深めるための研修を2回にわたって実施されました。キャプランでは、講師および研修内容の提案、実施にとどまることなく、さまざまなLGBT関連施策を支援しました。

今回は、ダイバーシティ推進室 室長の白倉 里美 様に、LGBTをテーマに取り上げた理由から実施後の波及効果までを伺いました。

※1:セクシュアル・マイノリティの総称。L=レズビアン(女性同性愛者)G=ゲイ(男性同性愛者)、B=バイセクシュアル(両性愛者)、T=トランスジェンダー(出生時に割り当てられた性と心の性に違和感や不一致感を持つ人)の頭文字から。

ダイバーシティ推進の中で未着手だったLGBT研修を導入

今回の研修導入の背景について教えていただけますでしょうか?

白倉氏:私は当社のダイバーシティ推進室の設立メンバーとして、4年間、ダイバーシティに関する取り組みや制度設計・整備などを行ってきました。そのなかで、LGBTに関しては理解を深めるべきテーマだと認識していたのですが、どのように進めていくべきか模索していました。

一方で、2018年、「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例第5条」の規定に基づき、間もなく「東京都性自認及び性的指向に関する基本計画」が策定されると言われはじめ、時代が大きく変わろうとしていました。

法的整備の流れに後押しされたのも事実ですが、社内を見ても男性か女性かという「男女二元論」や「男女間」のみを想定とした会話や議論が日常的に行われている現実を目の当たりにして、安心・安全な職場づくりを目指す立場としても一個人としても、とても違和感を抱いていました。そこで、LGBTを含めたダイバーシティへの理解を社員や経営層へ広く浸透させることが、優秀な人材の採用や定着に向けた取り組みへの近道と考え、同年11月、最初の研修を施することにしました。

ダイバーシティ推進室立ち上げ時は、室長として唯一の女性だったため、 マイノリティであることを感じたと語る白倉様

パソナHRソリューションへ依頼されたきっかけを教えてください。

白倉氏:当時、当社を含め、ダイバーシティ推進を行う企業が増え、担当者同士で定期的に情報交換をしていました。そこでLGBT施策や研修についてヒアリングをしたところ、すでににパソナHRソリューションに依頼して経営層向けのLGBT研修を実施した企業の方から「とても有意義だった」とお聞きしたので、紹介していただきました。提案いただいた研修内容が経営層向けの研修として申し分なかったことや、他部署でパソナHRソリューションにビジネスマナーなどの研修を依頼していたこともあり、実施に向け準備に取りかかりました。

ダイバーシティ推進におけるビジョン浸透のため、経営層から研修を

白倉氏:当社では「すべての社員が互いを認め、尊重しあい、一人ひとりが、持続的に活躍・成長できる企業風土と働く環境の確立をめざします。」とダイバーシティ推進のビジョンを掲げていますので、まずは経営層から実施すべきと考えました。LGBTというテーマで研修を行うのは初めてでしたし、経営層を対象とした大規模な研修を実施した経験がなかったので、どういう内容で構成すべきなのか正解もわかりませんでした。

そこで、パソナHRソリューションの担当者と頻繁に打ち合わせを設け、相談しながら研修内容を詰めていきました。当社の経営層には、社会には多様な人がいて、その人たちを受け入れるとはどういうことかを理解してほしかったですし、加えて、LGBTの方に向けたビジネス面での傾向なども知ってほしかったため、その辺りの内容を入れてプログラムを組んでもらうことにしました。

前のめりになって話を聞いていたのがとても印象的

実施された研修の内容についてお聞かせください。

白倉氏:そしていよいよ、2018年11月に、会長、社長、本社の部長・室長、グループ会社の社長を対象に第1回目の研修を実施しました。

研修には2名の講師を招いて、まず初めに一人目の講師からダイバーシティ全般の話をしてもらい、少しずつLGBTの話題に移っていきました。そこでは「13人にひとりはLGBTの方がいらっしゃいます。皆さんの部下を13で割ってみてください」と、自身の身近にいることが当たり前であるということも伝えてもらいました。

その次に、私が「この人しかいない」と以前から考えていたメインの講師にバトンタッチ。この講師自身がLGBTの当事者で、ご自身の体験談を交えながら軽やかにライフヒストリーを語ってくれました。他に、企業におけるLGBT施策事例や訴訟事例、炎上事例などにも触れてもらいました。

2回目の研修は、翌2019年の3月に全国の支店長を対象に実施しました。1回目とは異なる講師に依頼したため、1回目の研修を受けた経営層数人が再度話を聞きたいと参加していました。どちらの研修も参加者が多く、100人以上が集まり大盛況のうちに終わりました。

実際に受講された皆さんはどのような反応でしたか?

白倉氏:1回目、2回目とも、私は参加者の表情が見えるところに座っていたのですが、どの参加者も真剣なまなざしで前のめりになって話を聞いていたのが印象的でした。正直、どうなるのだろうと不安だったのですが、講師の人となりや話の内容が響いたのだと思います。

1回目の途中、参加していた会長や社長に対して講師から「あなたは男性ですか?女性ですか?どうして男性だと思うのですか?」と、あえて質問するシーンがありました。社内の者はさすがにああいう風にダイレクトには聞けないので、ヒヤッとしました。けれども、質問を向けられた会長や社長をはじめ、多くの経営層にとっても考えるきっかけとなったと思います。また、1回目の研修参加者に社内でつくった「LGBT ALLY(アライ)ステッカー(※2)」を「見えるところに貼ってください」と言って配ったのですが、研修終了後すぐに多くの参加者が携帯電話や手帳などに貼っていました。後から「いままであんな楽しい研修は受けたことがなかった」「すごく良かった」などと感想を言われるほど満足度が高い研修となりました。

私自身は、それまで外部のLGBTに関する研修を受講した経験があり、知識もあると自負していたのですが、もっと深掘りして学ばないといけないという気持ちになりました。

さまざまな施策を実施し、研修を形骸化させなかった

研修以外にも取り組まれた施策についてお聞かせください。

白倉氏:研修とほぼ同時期にそれ以外のLGBT施策も実施しました。
研修実施前に、当社の家族カード(※)3の対象を戸籍上の家族だけでなく同性パートナー同士も含めることにしました。また、ウェブサイトにはLGBTに関する取り組みの表記を追加し、オフィス内には「誰でもトイレ」の設置をしました。研修後、人事制度に同性パートナーを配偶者とみなすということを追加。
このときは、研修の効果で経営層の理解があり、スピーディに意思決定がなされました。それと、入社試験でのエントリーシートも変更しました。性別欄を「男」「女」「その他」にし、また面接官には、LGBTの方が面接に来ても不適切な言葉を発しないよう、対応を見直すように事前研修を行いました。

あとは、大きなところとしては「PRIDE指標※4」です。かつては応募すらしていなかったのですが、パソナHRソリューションの担当者から「一過性で終わるのではなく、次のゴールとして『PRIDE指標』受賞を目指しましょう」と提案され、受賞に必要な施策事例を教えてもらいました。おかげさまで、2019年、2020年と2年連続でゴールドを受賞しました。

写真左|※2: 「アライ」とは、同盟や支援を意味する英語allyが語源。LGBTを理解し支援する者のこと。写真右|※3: クレジットカードを持つ方のご家族もクレジットカードを発行・利用できるサービス。

※4:職場におけるLGBTQなどのセクシュアル・マイノリティへの取り組みの評価指標。LGBTQのQはクエスチョニング(性的指向や性自認が揺れ動いている人、迷っている人)、クィア(規範的な性のあり方以外のセクシュアリティ)を示す。

困っている人の気持ちに寄り添って活動し、制度を変えていく

白倉氏:社内で部員を集め、「色とりどりフレンドリー部」と題してLGBT ALLYの部活動も行っています。ゲイのミュージシャンの葛藤を描いた映画を皆で鑑賞し、感想を語り合ったときもありましたし、東京・新宿にあるセクシュアル・マイノリティに関する情報発信をする「プライドハウス東京」へ行きたいという話が出たり。最近、コロナ禍で集まることが困難な状況にありますが、だからこそ、今後はオンラインを活用して全国の支店スタッフも仲間にできると考えています。活動の輪が一層広がり、LGBTへの理解が深まると嬉しいです。

そして、会社として制度上変えられないという結論に至るのではなく、ダイバーシティ推進室で気づいていない課題を顕在化し、「だから、やらないといけない」と話すことが大切だと思っています。全社員にダイバーシティについて深く理解してもらうためにも、今後更に新たな取り組みにチャレンジしていきます。

Timeline

ダイバーシティ推進のタイムライン

STEP
01

20181 経営者向け研修

LGBTをはじめとするセクシュアル・マイノリティに関する基礎知識や、世界・日本の各地での事象に加え、各企業の取り組みや「PRIDE指標」、訴訟事例、炎上事例について学び、LGBTへの取り組みの必要性や意義について研修を通して発信した。

STEP
02

20191 人事制度改定

多様な価値観を尊重した制度とすべく、人事制度における対象家族の範囲を見直し、同性パートナーも対象とした

STEP
03

2019 全国支店長向け研修

人事制度を利用するには上席の承認が必要。そのため、全支店長にLGBTの基礎知識、および当事者の困りごと、組織として取り組む必要性や意義を研修を通して発信した。

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