外国人部下のマネジメントで管理職がつまずく4つの場面|受け入れ側向け研修の選び方

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外国人部下のマネジメントとは、外国籍社員を部下に持つ管理職が、職場の前提や慣習の違いを踏まえて指導・育成を行うことです。受け入れ側向け研修を選ぶ際は、「管理職向けと全社員向けを分けて設計できるか」「自社の外国籍社員の構成に合わせて内容を調整できるか」「本人向け研修とセットで設計できるか」などの比較軸で検討しましょう。導入は、現場のすれ違いの洗い出しから効果測定まで5ステップで進めることができます。

「外国籍社員を採用したものの、現場の管理職から『どう指導すればいいか分からない』という声が上がっている」「本人向けの日本語研修は導入したが、定着率が改善しない」「管理職のストレスが増えているように見える」といった課題を抱える企業さまは少なくありません。

この記事では、外国人部下のマネジメントで管理職がつまずきやすい4つの場面と、受け入れ側向け研修の種類・選び方・導入の進め方について解説します。

外国籍社員実態調査

企業と外国籍人材双方への調査を通じて、活躍・定着に関する実態や認識ギャップを分析。調査から見えてきた、企業と外国籍人材の認識のギャップとは?外国籍人材が長く活躍するための条件と、企業が取り組むべき支援のポイントを解説します。

外国籍人材の採用拡大に伴う現場課題や、活躍・定着を阻む3つの壁を解説。外国籍社員と受入れ側双方への支援策、定着・戦力化に向けた3年間のロードマップと具体的な取り組みを紹介します。

外国人部下のマネジメントが「日本人と同じ」では回らない理由

外国籍社員の採用が進む一方で、「採用はできたが現場で定着しない」というケースは珍しくありません。ここでは、日本の職場の慣習を前提にしたマネジメントがすれ違いを生みやすい背景を整理します。

人手不足を背景に、外国籍人材の採用に踏み切る企業が増えています。しかし、採用後のマネジメントを日本の職場の慣習を前提にしたやり方でそのまま進めると、上司・部下の双方が理由の分からないストレスを抱えやすくなります。

その原因は、言語の壁だけではありません。報連相のタイミング、評価への期待、キャリアの考え方といった「言葉にされないまま共有されてきた前提」が、一人ひとりの職場経験や育った環境によって異なる場合があるためです。

たとえば、「報告は聞かれる前に自分からするもの」という前提は、日本の職場では暗黙のルールとして共有されていることがあります。しかし、これまでの職場経験によっては「聞かれたら答える」が標準だった人もいます。こうした前提のずれに気づかないまま、「なぜ報告しないのか」「なぜ評価されないのか」と双方が不満を募らせる構図が生まれやすいのです。

ワンポイント
すれ違いの原因は、どちらか一方にあるわけではありません。双方が持つ「職場の前提」の違いから生まれるものとして捉えることが、マネジメント改善の出発点になります。

管理職がつまずく4つの場面

外国籍社員のマネジメントで管理職が困難を感じやすい場面には、共通するパターンがあります。ここでは代表的な4つの場面と、管理職がとれる対応を整理します。

指示の出し方

「適宜判断して」「なるべく早く」といった曖昧な指示は、職場の前提を共有していない相手には伝わりにくい場合があります。指示を出した側は「言わなくても分かるはず」と考えていても、受け手にとっては判断の基準が見えないことがあります。

管理職がとれる対応としては、背景・目的・期限・完成イメージを言葉にして伝えることが挙げられます。「この資料は〇〇の会議で使うので、△日の午前中までに、□□の形式で作成してほしい」のように、具体的な情報を添えましょう。

評価とフィードバック

「頑張りを見ている」「今後に期待している」といった曖昧な評価では、何をどう改善すればよいのかが伝わりにくい場合があります。これまでの職場経験によっては、評価基準や昇給・昇進の条件が明示されている環境で働いてきた人もいます。

管理職がとれる対応としては、評価基準を見える形にし、具体的な行動を例に挙げてフィードバックすることが効果的です。「〇〇の場面で△△の対応ができていた点が良かった」のように、行動レベルで伝えましょう。

報連相の前提

報告のタイミングや細かさについて、これまでの職場経験によって前提が異なる場合があります。「察して報告してくれるだろう」という期待は、日本の職場で言葉にされないまま共有されてきた慣習の一つです。

管理職がとれる対応としては、いつ・何を・どの程度報告してほしいかを最初に伝えることです。「進捗は毎週金曜日にメールで共有してほしい」「判断に迷ったら、自分で決める前に一度相談してほしい」のように、具体的なルールを設定しましょう。

キャリア期待のずれ

昇進・異動のスピード感について、本人と会社の間で期待がすり合っていないことがあります。本人が大切にしているキャリアの方向性と、会社が想定している育成の道筋が異なるまま時間が経つと、モチベーションの低下や離職につながりかねません。

管理職がとれる対応としては、「まずは経験を積む期間」の意味や、今後の道筋を具体的に説明することです。「最初の1年は〇〇の業務を担当し、△△のスキルを身につけた上で、次のステップとして□□を目指す」のように、見通しを共有しましょう。

ワンポイント
4つの場面に共通するのは、「言葉にしなくても伝わる」という前提を手放し、具体的な言葉で伝えるという姿勢です。これは外国籍社員に限らず、多様なメンバーをマネジメントする上で有効なアプローチです。

外国籍社員実態調査

企業と外国籍人材双方への調査を通じて、活躍・定着に関する実態や認識ギャップを分析。調査から見えてきた、企業と外国籍人材の認識のギャップとは?外国籍人材が長く活躍するための条件と、企業が取り組むべき支援のポイントを解説します。

外国籍人材の採用拡大に伴う現場課題や、活躍・定着を阻む3つの壁を解説。外国籍社員と受入れ側双方への支援策、定着・戦力化に向けた3年間のロードマップと具体的な取り組みを紹介します。

「本人向け研修」だけでは定着しない

外国籍社員の定着を考える上で、本人向け研修と受け入れ側向け研修の役割の違いを理解しておくことが重要です。

日本語研修やビジネスマナー研修は、外国籍社員本人が日本の職場に適応するための支援として有効です。しかし、本人向けの研修だけでは、適応の負担を本人に一方的に負わせる構図になりやすいという課題があります。

東京都の「東京外国人材採用ナビセンター」では、外国籍社員の定着のキーマンになりうる存在の一人として、日常的にコミュニケーションをとる立場の管理職を挙げています。あわせて、外国籍社員のマネジメントは経験のない人にとって負担になりやすく、管理職に対する研修やケアも必要だとしています(出典:東京外国人材採用ナビセンター「外国人材と働くためのつながる日本語」)。

つまり、外国籍社員の定着率を改善するには、本人側の適応支援と並行して、受け入れ側の管理職が「前提の違いに気づき、対応できる力」を身につける研修が必要です。

本人向け研修の種類や選び方は、「外国人社員向け研修の選び方|目的別プログラムの種類と、定着につながる導入5ステップ」で詳しく解説しています。

受け入れ側向け研修の種類|4つの選択肢

受け入れ側の管理職・日本人社員を対象とした研修には、目的に応じた4つの選択肢があります。それぞれの特徴を把握した上で、自社の課題に合った研修を選びましょう。

▼受け入れ側向け研修の4つの選択肢

種類

対象

解決したい場面

  1. 異文化間コミュニケーション研修

受け入れ側の日本人社員

外国籍社員との日常的なコミュニケーションのすれ違い

  1. グローバルマインドセット研修

受け入れ側の日本人社員

職場の"当たり前"を客観視できず、違いを「間違い」と捉えてしまう

  1. やさしい日本語・伝わる日本語研修

日本人社員全般

指示や説明が相手に伝わらない

  1. 多様な部下のマネジメント研修

管理職

一人一人の前提に合わせた指導・育成ができない

  1. 異文化間コミュニケーション研修は、受け入れ側の日本人社員が、職場で起きやすいすれ違いのパターンを理解し、対応力を高めるための研修です。自分自身のコミュニケーションスタイルを振り返る機会にもなります。
  2. グローバルマインドセット研修は、違いを「間違い」ではなく「違い」として捉える視座を養う研修です。自分たちの職場の"当たり前"を客観的に見直し、多様な前提を持つメンバーと協働するための土台をつくります。
  3. やさしい日本語・伝わる日本語研修は、相手に伝わる言葉への言い換えを学ぶ研修です。曖昧な表現を具体的な言葉に置き換えたり、難しい言葉を避けて簡単な言葉を使ったりするスキルは、外国籍社員とのコミュニケーションだけでなく、職場全体の情報共有の質を高めることにもつながります。なお、外国籍社員本人向けの日本語研修については「外国籍社員の日本語研修|目的別に最適な研修方法と失敗しない3つの選び方」で解説しています。
  4. 多様な部下のマネジメント研修は、部下育成研修の応用として、一人ひとりの職場経験や価値観の違いを踏まえた指導・フィードバックの方法を学ぶ研修です。前述の「管理職がつまずく4つの場面」への実践的な対応力を高めます。

受け入れ側向け研修の選び方|5つの比較軸

研修会社を選定する際は、以下の5つの観点で比較することをおすすめします。

▼受け入れ側向け研修の比較チェックリスト

観点

チェックポイント

  1. 対象の設計

管理職向けと全社員向けを分けて設計できるかい

  1. 内容の調整

自社の外国籍社員の構成(担当業務・在籍年数・日本語レベルなど)に合わせて内容を調整できるかう

  1. ケーススタディ

ケーススタディが自社の現場の実態に沿っているか

  1. セット設計

本人向け研修とセットで設計できるかい

  1. 効果測定

研修後の定着状況やエンゲージメントで効果を測れるか

研修会社は大きく3つのタイプに分けられます。貴社の課題や体制に合ったタイプを選びましょう。

総合系は、階層別研修やマネジメント研修など幅広い領域をカバーしており、受け入れ側向け研修を既存の研修体系に組み込みたい企業さまに向いています。

グローバル特化系は、異文化間コミュニケーションやグローバルマインドセットに強みを持ち、外国籍社員の比率が高い企業さまや、海外拠点との連携が多い企業さまに適しています。

日本語教育系は、やさしい日本語研修や日本語コミュニケーション研修に強みがあり、現場での「伝わらない」を具体的に改善したい企業さまに向いています。

ワンポイント
「受け入れ側向け」と「本人向け」をセットで設計できる研修会社を選ぶと、双方の研修内容に一貫性を持たせやすくなります。

導入の進め方|5ステップ

受け入れ側向け研修の導入は、以下の5ステップで進めることができます。

▼受け入れ側向け研修 導入の5ステップ

ステップ

人事側で行うこと

委託先に任せられること

  1. すれ違いの洗い出し
現場で起きているすれ違いを、具体的な場面のレベルでヒアリング・整理する

ヒアリングシートの設計、課題の分類・優先順位付け

  1. 対象の絞り込み

まず管理職を対象に設定し、研修の目的を明確にする

対象者の選定基準の提案

  1. 役割分担の決定

受け入れ側向けと本人向けの研修で、それぞれ何を扱うかを決める

双方の研修内容の連動設計

  1. 仕組みの文書化

研修と並行して、評価基準や指示の出し方の型を文書にする

テンプレートや運用ガイドの作成支援

  1. 効果測定

定着状況とエンゲージメントの変化を定期的に確認する

アンケート設計、データ集計・分析

研修を単発のイベントで終わらせないためには、「4. 仕組みの文書化」が重要です。研修で学んだ内容を日常のマネジメントに落とし込む仕組みをつくることで、研修効果の定着につながります。

よくある質問(FAQ)

受け入れ側向け研修の導入を検討する際に、よく寄せられる質問をまとめました。

Q.

本人向けと受け入れ側向けの研修は、どちらを先に実施すべきですか?

A.

どちらを先にという決まりはありませんが、可能であれば並行して進めることをおすすめします。本人側だけに適応を求める構図を避け、双方が歩み寄る姿勢を示すことで、研修の効果が高まりやすくなります。

Q.

受け入れ側向けの研修は、管理職だけが受ければよいですか?

A.

まずは外国籍社員と日常的に接する管理職から始めるのが効果的です。その上で、チーム全体のコミュニケーション改善を目指す場合は、同じ部署のメンバーにも対象を広げることを検討しましょう。

Q.

外国籍社員の出身国がさまざまな場合は、どのように研修を設計すればよいですか?

A.

国ごとに研修を分ける必要はありません。一人ひとりの前提を確認するための「共通の関わり方」を身につけることが重要です。出身国ではなく、これまでの職場経験や本人が大切にしていることに目を向けるアプローチが効果的です。

Q.

英語が得意でない管理職でも受講できますか?

A.

受講できます。英語力は受講の前提条件にはなりません。受け入れ側向け研修の目的は語学力の向上ではなく、前提の違いに気づき、対応できる力を身につけることにあります。なお、使用言語はプログラムによって異なります。『グローバルチームとダイバーシティ』は全編英語で実施するため、英語での受講に不安がある場合は事前にご相談ください。

パソナHRソリューションの受け入れ側研修

株式会社パソナHRソリューションでは、受け入れ側の管理職・日本人社員向けの研修と、外国籍社員本人向けの研修をセットで体系的に設計できます。

受け入れ側向けには、『異文化間コミュニケーション研修(受け入れ側日本人社員向け)』や『グローバルチームとダイバーシティ』を提供しています。これらの研修を、本人向けの『ビジネス日本語研修』や『日本企業文化への理解研修』と連動させることで、受け入れ側と本人側の双方が同じ方向を向いた状態をつくることができます。なお、『グローバルチームとダイバーシティ』は全編英語で実施するプログラムです。対象者の英語使用状況に応じて、別プログラムとの組み合わせや内容の調整もご相談いただけます。

日本語研修の実績は200社以上です。貴社の外国籍社員の構成や現場の課題に合わせて、研修内容をカスタマイズすることも可能です。

研修の導入をご検討の際は、お気軽にご相談ください。

まとめ

この記事では、外国人部下のマネジメントと受け入れ側向け研修の選び方について以下の内容を解説しました。

  • 日本の職場の慣習を前提にしたマネジメントでは、指示の出し方・評価・報連相・キャリア期待の4つの場面ですれ違いが起きやすいこと
  • 本人向け研修だけでなく、受け入れ側の管理職向け研修を導入することで、双方の前提の違いに対応できる体制をつくれること
  • 研修会社の選定では、対象の設計・内容の調整・ケーススタディ・セット設計・効果測定の5つの比較軸が有効であること

外国籍社員の定着は、本人の努力だけで実現するものではありません。受け入れ側の管理職が「前提の違い」に気づき、具体的な対応力を身につけることが、職場全体のコミュニケーション改善と定着率の向上につながります。外部の専門家の力を借りながら、受け入れ体制を整えていくのも一案です。

株式会社パソナHRソリューションでは、受け入れ側向け研修と本人向け研修をセットで設計し、貴社の課題に合わせた研修プランをご提案しています。8,000社以上の研修実績と600名を超える経験豊富な講師陣が、外国籍社員の定着と活躍を支える体制づくりをサポートいたします。受け入れ側向け研修の導入をお考えでしたら、ぜひ株式会社パソナHRソリューションにご相談ください。

外国籍社員実態調査

企業と外国籍人材双方への調査を通じて、活躍・定着に関する実態や認識ギャップを分析。調査から見えてきた、企業と外国籍人材の認識のギャップとは?外国籍人材が長く活躍するための条件と、企業が取り組むべき支援のポイントを解説します。

外国籍人材の採用拡大に伴う現場課題や、活躍・定着を阻む3つの壁を解説。外国籍社員と受入れ側双方への支援策、定着・戦力化に向けた3年間のロードマップと具体的な取り組みを紹介します。

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