ビジネスマナーとは?人材育成に不可欠な理由と効果的な研修のポイント

「基本的な挨拶や敬語が徹底されていないことで顧客対応に支障が出ている」「組織内の信頼関係が構築できていない」など、ビジネスマナーに関する課題を抱える企業は少なくありません。ビジネスマナーは、個人の印象だけでなく、企業の信頼にも直結する重要な要素です。そのため、企業の人材育成においてビジネスマナーの習得は必須といえます。
この記事では、「ビジネスマナーとは何か」を定義したうえで、その基本要素を整理します。さらに、企業が社員にビジネスマナーを教育する重要性、人材育成における効果的な指導方法についても解説します。ぜひ参考にしてみてください。
ビジネスマナーとは
ビジネスマナーとは「社会人として、組織の一員として、働く上で身に付けるべき基本的な行動様式や心構え」のことです。単なる作法ではなく、相手への敬意や配慮、そして気遣いを形として表します。
ビジネスマナーを身に付けることは、取引先や顧客、社内の同僚など、関わるすべての人から「社会人として信頼」を得るために不可欠です。組織の一員として、またプロフェッショナルとして、自社や自分自身の評価を高める土台にもなります。さらに、礼儀正しい態度や適切な言葉遣いは、個人の評価にとどまらず、組織のブランド価値向上にも直結します。
ビジネスマナーの8つの基本要素
ビジネスマナーは幅広い要素で構成されますが、ビジネスの場で基本として押さえておきたい主要な要素は以下の8つです。
1.挨拶
挨拶は、人と人とのコミュニケーションの基本です。「おはようございます」「ありがとうございます」といった基本的な挨拶は、「相手の存在を認めること」「行動のけじめ」「コミュニケーションのスタート」ともいわれています。挨拶をTPOに応じて使い分け、明るくはっきりと行うことで、相手に好印象と安心感を与えられます。
2.身だしなみ
清潔感のある服装や整った外見は、第一印象を決定づけます。企業の顔として見られる意識を持って身だしなみを整えることで、顧客や取引先から信頼を得やすくなります。
3.言葉遣い・態度
正しい言葉遣いと落ち着いた態度は、ビジネスシーンでの基本です。敬語は日本語の美しさでもあり、相手を思いやる言葉遣いです。敬語(尊敬語・謙譲語・丁寧語)を正しく使い分け、相手との関係性や状況に応じた適切な表現を選ぶことで、仕事への真摯な態度を示すことができます。
4.報連相(報告・連絡・相談)
報連相(報告・連絡・相談)は、組織のチームワークと業務の円滑化に不可欠なコミュニケーションスキルです。正確に、迅速に、そして結論から伝えることが基本とされます。
5.電話対応
電話対応はお客さまの表情を観察できないため、対面でのコミュニケーション以上に細やかな心配りと察しの力を必要とします。声のトーンや話し方、名乗り方、言葉遣いひとつで印象が変わるため、会社の代表として適切な対応が求められます。
6.メール対応
ビジネスメールは社内外のやり取りに欠かせません。件名の付け方、敬語の使い方、署名の形式などを正しく理解することはもちろん、迅速な返信を心がけることで信頼につながります。
7.訪問・来客応対
取引先を訪問する際の入室手順や、来客時の案内方法なども重要なマナーです。細部にわたる所作が、企業全体の評価に直結します。
8.名刺交換
名刺交換は日本のビジネス文化における代表的な習慣です。名刺の扱い方や交換時の手順などを身に付けることは、社交の基本といえます。
企業が社員にビジネスマナーを教育する重要性
ビジネスマナーは個人の評価だけでなく、組織全体の成果やブランドイメージに大きな影響を与えます。
企業イメージの向上と信頼獲得
社員一人一人のビジネスマナーは、そのまま企業のイメージとなります。顧客や取引先との応対において、丁寧で適切なマナーが実践されることで、「しっかりとした組織」というポジティブな企業イメージを築くことができます。これは企業の信頼獲得に直結し、長期的なビジネス関係の基盤となります。
円滑な人間関係の構築
ビジネスマナーは、相手に安心感や信頼感を与え、良好な人間関係を築くうえで普遍的かつ不可欠なスキル・リテラシーです。相手への敬意と配慮を示すことで、社内では部署間の協力体制がスムーズになり、社外では円滑なコミュニケーションを可能にします。
対面でのやり取りだけでなく、テレワークにおいても同様です。電話・メール・オンライン会議での報連相(報告・連絡・相談)や言葉遣いといったマナーは、意思疎通のミスを防ぎ、無駄なトラブルやストレスを減らし、生産性を維持・向上するために必要不可欠です。
個人の成長とキャリアアップ
ビジネスマナーは業務を円滑に進めるための土台であり、社員のプロフェッショナルとしての意識を高めます。また適切なマナーを実践することで、自然と気配りや状況判断力が養われ、個人の成長につながります。さらに上司や顧客から信頼を得られることで、より重要な役割を任され、結果としてキャリアアップの機会も増えることになります。
ビジネスマナーが身に付く人材育成のポイント
ビジネスマナーを単なる知識で終わらせずに現場で活用できるスキルとして社員に定着させるには、体系的かつ実践的な教育が必要です。
教育のタイミング
ビジネスマナー教育の効果を高める鍵となるのは、適切なタイミングでの実施です。例えば、入社時に行う新入社員研修は、学生気分から脱却し社会人としての基礎を形成するうえで最も重要なタイミングです。ここで挨拶や身だしなみ、報連相(報告・連絡・相談)、基本的な敬語などの土台をしっかりと築く必要があります。
入社数年が経過した中堅社員に対しては、後輩指導や難易度の高い顧客折衝の場面で必要となる、より高度なマナーやリーダーシップに関連するマナーを学ぶ機会を提供しましょう。
体系的なプログラムの設計
ビジネスマナーを効果的に習得させるためには、体系的なプログラムの設計が重要です。挨拶や言葉遣い、身だしなみなどの基礎から、電話応対やクレーム対応といった応用までを段階的に学べるように構成しましょう。知識の定着度を確認しながら次のステップへ進むといった、構造化された学習プロセスが効果的です。
実践的なロールプレイングの導入
講義形式で知識を伝えるだけでなく、実際にビジネスマナーを「使う」練習も必要です。電話応対や名刺交換、来客応対など、実際の場面を想定したロールプレイングを積極的に取り入れましょう。実践を通じて自分の課題に気づき、フィードバックを受けてマナーを体得することで、自信を持って現場で実践できるようになります。
まとめ
この記事では、ビジネスマナーについて以下の内容を解説しました。
- ビジネスマナーとは、社会人として、組織の一員として、働くうえで身に付けるべき基本的な行動様式や心構え
- 企業が社員にビジネスマナーを教育する重要性は、主に「組織ブランドの価値向上と信頼獲得」「円滑な人間関係の構築」「個人の成長とキャリアアップ」の3つ
- 現場で活用できるスキルとして社員にビジネスマナーを定着させるには、体系的かつ実践的な教育が必要
ビジネスマナーは、単なる形式ではなく、企業の信頼や社員の成長を支える重要な要素です。社員のビジネスマナーが向上することは、企業イメージの向上や円滑な人間関係の構築に直結し、結果として企業の成長を加速させます。しかし、自社の人材だけで体系的かつ実践的な研修プログラムを構築・実施するのは、時間やノウハウの観点から容易ではない場合もあります。その際は、ビジネスマナー研修を外部に委託するのが有効な手段です。
『株式会社パソナHRソリューション』では、ビジネスマナーやコミュニケーション、グローバル、マネジメントなど、企業の多様化するニーズにお応えできる充実の研修ラインナップをご用意しております。600名を超える経験豊富な講師陣を揃えており、幅広い分野の研修に対応できます。また、8,000社以上の研修実績で培ってきたノウハウを活かし、企業課題に応じて最適な研修をカスタマイズしてご提案することが可能です。ビジネスマナー研修の実施を検討している、または課題を抱えている企業さまは、この機会にぜひ株式会社パソナHRソリューションにお問い合わせください。


