
本社所在地:東京都中央区京橋一丁目7番1号
設立:1936年(昭和11年)7月10日
代表:代表取締役社長 大谷清介
業種:建設業(総合建設業/準大手ゼネコン)
従業員数:4,315人(2025年3月31日現在)
部署・役職名:人事統轄部 人財戦略部長
ご担当者氏名:中村 敏志様
(取材日:2026年4月)
請負業からの脱却、持続的な成長とイノベーション創出に向け、多様な価値観を取り入れる組織づくりが重要なテーマの一つ。一方で、社内研修のみでは視座を十分に高められず、発想も社内向き、従来の延長線上の学びにとどまるという課題があり、より広い視野や経営視点を持つ女性リーダーの育成が求められていた。
日常の仕事から一時的に距離をおいた社外環境での学びを通じて視野を広げる“越境学習”に着目。その取り組みの一環で実践型の企業研修として、パソナHRソリューションの女性幹部育成プログラム(WAP|Women’s Advanced Program※以下WAP)を導入。女性幹部候補が、自社の枠を超えて学び、視座を高められる環境づくりを進めた。
<女性幹部育成プログラム(WAP)の特徴>
参加者には主体的に行動する姿勢や視座の変化が見られ、案件獲得などの成果にもつながった。今後は、多様な視点を持ち、自ら変革を起こせるリーダー育成をさらに推進していく。
<プログラム参加後の変化>
1881年創業の戸田建設株式会社は、建設事業を中心に成長を続ける一方、投資開発や浮体式洋上風力発電による再生可能エネルギー事業など、新規事業にも積極的に取り組み、建設業の枠を超えた事業変革を推進しています。持続的成長に向け、多様な価値観を取り入れる組織づくりを重視する中、建設業界共通の課題である女性幹部育成・次世代リーダー育成に注力。社内研修だけでは得にくい視座や発想を補うため、外部環境での学び(越境学習)に着目し、パソナHRソリューションの女性幹部育成プログラム(WAP)に参加されました。
今回、人事統轄部人財戦略部長の中村様に、女性リーダー育成に取り組む背景やプログラム参加の経緯、研修内容、受講後の行動変容・成果について詳しくお話を伺いました。
中村氏:弊社は1881年創業以来、140年以上にわたり建設事業を中心に成長してきた準大手ゼネコンです。これまでは請負型ビジネスを主軸としてきましたが、近年は投資開発や新規事業にも積極的に取り組んでいます。2026年には五島列島において浮体式洋上風力発電所の商用運転を開始しました。さらに、アグリサイエンスバレー常総など、建設業の枠を超えた事業にも挑戦しています。
その背景には、社会や市場環境の変化に対応しながら、持続的な成長を実現していきたいという考えがあります。建設を通じて社会課題を解決していくことを、これから目指す企業の姿として掲げています。
中村氏:人事統轄部に所属し、人財戦略部長を務めています。人財戦略部は「人事戦略の立案」「人財開発」「障害者採用・活用」の3領域を担う組織です。私自身が深く関わっているのが、次世代経営人財育成です。大谷社長の就任時に掲げられたのが、「経営者を社内で計画的に育成したい」という方針でした。その実現に向けて、将来の経営を担う人材を計画的に育成する仕組みづくりを進めています。
人材育成の特徴的な取り組みの一つが、定年を迎えたベテラン社員が後進育成を担う「伴走型社内コーチング」制度です。世代を超えた知見や経験の継承を通じて、人を育てる文化を大切にしています。また、ベテラン社員が定年後も後進育成という形で活躍できる循環づくりを目指しています。個々の社員の成長支援にとどまらず、組織が自律的に成長し続ける仕組みをどう構築するかという、より大きな視点での役割です。
中村氏:弊社では、女性幹部育成を次世代経営人財育成における重要なテーマの一つと位置づけています。その理由は大きく二つあります。一つ目は、多様な価値観がなければイノベーションは生まれないという点です。弊社のビジョンは「新たな価値を創造することで協創社会を実現する」ことですが、そのためには同質的な組織では限界があります。現在、従業員の8割以上が男性という構成の中で、女性の視点を含む多様な価値観を取り入れることが不可欠だと考えています。
二つ目は、要員構成に対する危機感です。女性総合職の採用は技術系で2006年、事務系で2011年と決して早くないと考えています。そのため、女性総合職のボリュームゾーンは35歳以下に集中しています。次世代・中核層を計画的に育てなければ、将来、組織が立ち行かなくなるという危機感がありました。

中村氏:弊社ではこれまでにも社内研修を実施してきましたが、どうしても社内に閉じた学びになりがちです。コンフォートゾーンに留まった学びになりやすく、視座が大きく揺さぶられることは少ない。一定の成長は見られるものの、外の価値観に触れる機会が少ないという課題がありました。パソナHRソリューションの女性幹部育成プログラム(WAP)は、外の世界で学ぶ「他流試合」の場であり、異業種や異なる立場の参加者と対話することで、視座を一段引き上げられると感じました。特に課長級に達した女性に、次の成長段階として外の世界を体験させたいという期待がありました。
中村氏:このプログラムに期待したのは、単なるスキル向上ではなく、「俯瞰力」と「価値創造の視点」です。従来の延長線ではない視座から物事を捉え、批評家ではなく自ら環境を変えていくスタンスを身に付けてほしいと考えていました。
中村氏:これまでの研修は社内完結型が多く、どうしても慣れた環境での学びに留まりがちでした。一方、女性幹部育成プログラム(WAP)は、異業種の参加者との対話や交流を通じて、自分自身の価値観や考え方が大きく揺さぶられる場であり、学びの質が全く違います。自分自身と向き合いながら内省を深めた上で外部の視点に触れることで、学びが一段深く腹落ちしていると感じます。単なる知識習得型の企業研修ではなく、自身の価値観やリーダーシップを見つめ直し、行動変容につながる学びの機会になっていたと感じています。
中村氏:プログラム参加者の変化は明確でした。プログラム受講後、雰囲気が明らかに変わったのです。他責ではなく「まずは自分に何ができるか」を考える自責の姿勢へと変化し、前向きで建設的な発言や行動につながっています。実際に、目に見える行動変容や業務成果としてアウトプットにも表れています。周囲から見ても取り組む姿勢が前向きかつ柔軟になり、研修を通じて得た自信を現場でしっかりと発揮している印象です。

中村氏:自分がどのような価値観を持ち、何を大切にしているのかを深く見つめ直す機会が多くあったようです。普段の業務ではなかなか考えることのない、自分自身の根底にある考え方や人生観に向き合う内容だったと感じています。こうした学びが、主体性や視座の変化など、受講後の行動変容にもつながっていたと感じます。
あとは、やはり人脈、外部ネットワークですね。各社から集まった優秀な女性たちが5日間にわたって過ごすことで、強いネットワークが生まれると思います。実際に、受講者からは「こんな研修を受講させていただきありがとうございます」「終わってしまうのが残念です」といった感想のメールが届くこともあり、非常に満足度や熱量の高い研修なのだと感じました。さらに、受講者の変化を見た周囲の社員から「次は自分も参加したい」という声が上がるなど、社内でも高い関心を集めています。
中村氏:印象的だったのは、参加者が対話姿勢や周囲との関わり方を改めて意識するようになった点です。以前よりも「相手の話を丁寧に受け止めながら対話すること」「良質な問いを通じて相手の考えを引き出すこと」の重要性を強く意識している様子が感じられます。内容自体はこれまで社内研修でも伝えてきたテーマと重なる部分があったものの、外部環境で改めて学ぶことで、参加者の中で点と点がつながり、より腑に落ちたのではないかと感じています。
(※)性別問わずご参加いただける「Leaders’ Advanced Program ~未来を切り拓く次世代リーダーの育成プログラム~」
中村氏:女性に限らず、これからの時代は従来の延長線上にある発想だけでは成果を生み出すことは難しいと感じています。変化が大きく不確実性の高い時代の中で、いかに新たな価値を創造していくかが重要です。そのためには「新たな価値とは何か」を多様な視点から考え、対話できるリーダーになってほしいと考えています。
中村氏:弊社として課題感を持っているのが、俯瞰して物事を見る力です。一方で、女性幹部育成プログラム(WAP)から戻ってきた社員は、物事をより高い視座でより広い視野で捉えるようになった印象があります。会社や部署単位ではなく、社会全体や地球規模で物事を考え、多角的な視点から捉えようとする姿勢が見られるようになりました。
また、単に課題を指摘する批評家ではなく「自分がどのように変えていくか」を主体的に考える姿勢も重要だと感じています。弊社は歴史のある会社ということもあり、共感力を大切にする文化があります。それは大きな強みでもありますが、自ら率先して変革を起こす意識は、これからさらに必要になってくると考えています。共感性という強みを活かしながら、変化する社会に適応し、新たな価値を生み出していく。そうした変革を牽引できるリーダーを育てていきたいと思っています。

中村氏:女性幹部育成プログラム(WAP)は、参加するだけでも非常に価値のあるプログラムだと感じています。一方で、その効果をさらに高めるためには、事前に社内で内省や自己理解を深める機会を設けておくことも重要だと思います。自分自身の人生観や価値観と向き合い、「自分は何を大切にしたいのか」を考える土台ができていることで、女性幹部育成プログラム(WAP)での学びや気づきをより深く吸収できるのではないかと感じています。

また、5日間にわたる集中したプログラムを3カ月間継続して行うという密度の高さも、大きな価値の一つだと思います。高い志を持った参加者同士が異業種で集まり、普段の業務では得られない視点や価値観に触れられることは、非常に大きな刺激になります。
特に、異業種であることには大きな意味があると感じています。異なる業界やバックグラウンドを持つ人との対話を通じて、自社の常識を見つめ直し、新たな視点を得ることにつながるのではないでしょうか。