
本社所在地:東京都杉並区荻窪4丁目30番16号 藤澤ビルディング5階
設立:1948年 6月
代表:代表取締役社長執行役員 町野雅俊
業種:紳士靴・婦人靴・スニーカー等の販売
従業員数:1,065名(2025年2月末現在)
部署・役職名・ご担当者氏名:
人事部長 兼 女性活躍推進室長 吉山 真由美様(右)
人事部 兼 女性活躍推進室 課長代理市野 真紀様(左)
(取材日:2026年4月)
約9年前まで性別による役割分担の文化が残っており、女性管理職の育成やキャリア形成が課題となっていた。制度改定だけでは変わらない意識や行動の変革を目指し、女性活躍推進と組織風土改革に取り組んでいた。
女性活躍推進室を立ち上げ、制度や慣習の見直しを進めるとともに、社内育成だけでは得られない学びを補うため、パソナHRソリューションの女性幹部育成プログラム(WAP|Women’s Advanced Program※以下WAP)を導入。異業種交流や対話を通じて、多様な価値観に触れる機会を創出した。
異業種交流を通じて、多様な価値観や働き方に触れることで、自身のキャリアや組織に対する視野が広がり、主体的に行動する意識の醸成につながった。
<プログラム参加後の変化>
研修を通じて、自身の可能性やキャリア形成について前向きに考える意識が高まり、女性活躍推進を組織全体の課題として捉える視点が醸成された。また、異業種交流によって築かれたネットワークが継続的な学びの機会となり、参加者の成長を後押ししている。今後は女性活躍推進にとどまらず、多様な人材が能力を発揮できる組織づくりと次世代リーダー育成をさらに推進していく。
シュープラザや東京靴流通センターなどの靴専門店を全国に展開し、企画・販売からサービス提供まで一貫した事業を行う株式会社チヨダ。創業から90周年を迎えた同社は、消費者ニーズの変化に柔軟に対応しながら、次の成長ステージを見据えた経営を推進してきました。その中で、人材の多様性と成長を重要なテーマの一つとしています。近年は次世代を担う女性管理職・女性リーダーの育成を目的に、パソナHRソリューションの女性幹部育成プログラム(WAP)を導入されました。
今回は、人事部長兼女性活躍推進室長の吉山様、人事部兼女性活躍推進室課長代理の市野様に、プログラム導入の背景や成果、今後の展望について、詳しくお話を伺いました。
吉山氏:弊社は、「シュープラザ」「東京靴流通センター」などの業態を全国で約800店舗以上展開しており、今年で創業から90年になります。決して高価格帯の商品ではなく、子どもの上履きや、急な弔事で必要になるブラックパンプスなど、生活の中で“本当に困ったとき”に駆け込んできていただける、いわば『国民の靴屋』でありたいという思いを大切にしています。
また、人の温かさで成り立っている会社だとも感じています。東日本大震災や熊本地震の際には、現地の従業員が自分自身も被災している中で、水や食料、ミルク、生理用品を届ける支援に動きました。東日本大震災では特に、「支援のために靴を運びたい」と警察など関係機関に許可をいただき、4トントラックで靴を届けました。避難所から来店され、「津波で濡れた靴を洗ったのですが、23センチありますか」と聞かれる方や、お子さんを抱えて裸足で逃げてこられた方もいらっしゃいました。靴は生活用品ではなく、命に直結するものだと実感しました。

吉山氏:現在でこそ多様な働き方や育成に取り組む同社ですが、約9年前までは、女性活躍という言葉とはほど遠い職場環境にありました。正直に言えば、性別による役割分担の文化が色濃く残っていました。女性は制服、パンプス着用が当たり前で、管理職にはなれない。結婚や妊娠をしたら退職、という前提がありました。
実際、女性社員はお茶出しや清掃を担当し、朝礼にも参加しないのが通例でした。人事制度の改定は進めてきたものの、制度を変えただけで意識や行動が変わるわけではありませんでした。女性社員自身も「自分はそこまでいけない」と、無意識に限界を決めてしまっているケースが多かったと思います。
吉山氏:2017年のオフィス移転をきっかけに、女性活躍推進室を設置し、まずは長年続いてきた制服を廃止しました。初めこそ「制服がなくなるのは困る」という声もありましたが、次第に女性社員の意識にも変化が見られました。自分らしい服装を楽しむ社員が増え、キラキラ輝いていきました。これまでネイルをしていなかった社員がネイルをしている姿を見ると、「ああ、嬉しいな」という気持ちにもなりました。
また、お茶出しといった役割分担を見直し、必要な社員がそれぞれ飲み物を用意する、掃除はビルの管理に任せるなど、日々の業務や慣習も少しずつ変えていきました。こうした取り組みと並行して、男性の意識改革にも取り組んできました。かつては「男性が育休を取るなんてありえない」という風潮がありましたが、今では「取らない方が時代遅れ」という認識に変わりつつあります。こうして、制度・風土・意識の見直しを進めてきました。
吉山氏:女性を積極的に登用し、女性リーダーを育てたいという思いはありながらも、社内だけで完結する育成には限界を感じていました。多様な価値観に触れ、視座を上げてほしいと考えていた時に、パソナHRソリューションの女性幹部育成プログラム(WAP)を知りました。
吉山氏:特別な一部の人のための研修ではなく、「やり方次第で誰でも変われる」という思想に共感しました。発言力を持ち、意思決定の場に入れる女性を育てたい、という期待がありました。また、一般的な研修では、女性幹部育成プログラム(WAP)のように多様な知見を持ち、アートや感性の領域にも精通した講師陣と出会う機会は、決して多くありません。自分たちでそうした講師を選定することも難しく、縁もないことがほとんどだと思います。
市野氏:自分ではフラットに考えているつもりでも、「できることは限られている」と、どこかで線を引いていたと思います。発言したい気持ちはあっても、本当にそれでいいのかと、一歩引いてしまうことが多かったです。吉山さんのようになりたいという理想や憧れはありましたが、それは経験や知識が豊富で、もともと特別な人だからこそできることだと感じていました。
市野氏:女性幹部育成プログラム(WAP)は、知識を教え込む研修ではありません。フレームワークを使って考えを整理することで、「やり方次第でできるかもしれない」と感じました。講師や仲間との対話を重ね、自分一人では見えなかった視点を沢山もらえました。最初はプレゼンで前に立つことにも抵抗がありましたが、回を重ねるうちに自然と前に出て話せるようになっていて、自分でも驚きました。“実際に前に立って発言する”、そのプロセスを通じて、少しずつ行動も変わっていきました。
市野氏:ある講師から、「意思決定の場に女性が入らなければ、組織は変わらない」というお話を伺ったことが非常に印象に残っています。それまでの私は、「与えられた仕事をきちんとこなしていれば良い」と考えていましたし、周囲の女性社員も同じような感覚を持っていたと思います。しかし、その話を聞いて、働きやすい会社をつくっていくためには、女性自身も発言力を持ち、意思決定に関わる立場を目指していくことが必要なのだと気づかされました。もちろん、それは女性だけのためではありません。男性を含め、誰もが働きやすい職場を実現するためには、多様な視点が意思決定の場に反映されることが重要だと感じています。
また、社内にはロールモデルとなる先輩社員もいますが、「一部の特別な人だけができること」と捉えるのではなく、こうしたプログラムや研修を通じて、自分自身もその一歩を踏み出していきたいと思うようになりました。

市野氏:研修に参加した当初は、周囲の参加者がキラキラして見え、「特別な人ばかりの場所に来てしまったのではないか」と感じていました。しかし、研修内外を通して対話を重ねる中で、実際には多くの人が同じような悩みを抱えていることを知りました。心理的安全性が担保された環境の中で、「ここでは無理に取り繕わなくていい」と感じられるようになり、違う意見であっても発言した方が良いと思えるようになったことは、自分にとって大きな変化でした。この経験は、自分が所属する組織やチームにおいても、安心して意見を交わせる環境づくりの重要性を教えてくれた大切な学びとなっています。
─チヨダ様が参加された「WAP」を、より多くの皆さまに参加いただけるように改変─
女性エグゼクティブリーダー育成(LAP)
女性管理職・幹部候補を対象とした合宿型リーダー育成プログラム。自分の軸を確立し、対話を通じて視野を広げながら、新たな価値創出やイノベーションマインドを醸成します。
─女性リーダー育成を組織の変化につなげるために─
なぜ女性活躍は進まないのか?
チヨダ様のような意識改革や風土醸成をどのように進めるべきか。女性活躍推進が進まない原因を整理し、組織風土改革や管理職の役割、推進ロードマップ、研修事例まで実践的に解説した実践ガイドです。
吉山氏:これまでの研修は知識インプット型が多かったですが、女性幹部育成プログラム(WAP)は行動やマインドが変わる研修だと思っています。「場を自分たちでつくる」「他者を支える」という意識が育っています。女性向けの研修には、ハラスメントやマネジメントなど、何か一つのテーマに特化したものは色々とあり、そうした研修を受ける機会は多いと思います。一方で、女性幹部育成プログラム(WAP)は、特定のスキル習得にとどまらず、きめ細やかに、その人自身の成長に向き合う研修だと感じました。
市野氏:これまで受けてきた研修は一般的な座学型が多く、知識やノウハウをインプットすることが主な目的でしたが、女性幹部育成プログラム(WAP)では知識を得るだけでなく、今後の自分の行動や周囲との関わり方にまで影響を与える学びの場だったと感じています。
吉山氏:受講を通じて、本人たちは大きな自信を得たと感じています。選抜されてWAPに参加し、約1年間のプログラムを仲間とともにやり遂げた経験が、自信につながったのだと思います。また、その学びは受講者個人にとどまらず、組織にも広がっています。例えば、6期生のアルムナイ活動では「所属部署でテーマを共有し、メンバーとともに考える」という課題があり、受講者がWAPでの学びを部署に持ち帰り、周囲と共有する姿が見られました。女性幹部育成プログラム(WAP)での学びを部署に還元し、学びが広がっている、これは素晴らしいことだと感じています。
市野氏:女性幹部育成プログラム(WAP)受講後、女性活躍について構造的に考えるようになりました。「責任を負いたくない」「昇進したくない」と感じてしまう女性本人のマインドセットと、その背景にある「女性はいずれ退職や出産で現場を離れるのだから、サポート役で良い」といった男性上司側の認識の両方を、会社全体で考えていかなくてはいけないと、より強く意識するようになりました。
所属部署においては、業務を任せる場面で一方的に役割や期待を伝えるのではなく、本人がどのような不安や価値観を持っているのかを聞くようになりました。また心理的安全性が担保された環境を意識的につくることで、違う意見であっても安心して発言できるようになり、一人一人が本来の力を発揮できると感じています。さらに、女性幹部育成プログラム(WAP)で学んだウェルビーイングの視点から、自分自身の心身の状態にも目を向けるようになりました。無理を前提とした働き方ではなく、仕事とプライベートのバランスを整えることが、結果的にパフォーマンスの向上につながると実感しています。

吉山氏:次につながる人にどのような研修なのか、どう成長するのか確認しなければ分からないと思い、まず送り出すことを優先しました。実際に参加した社員からは多くの学びや気づきが共有されており、視野の広がりや物事の捉え方の変化など、期待していた以上の成長が見られたと感じています。
(※)性別問わずご参加いただける「Leaders’ Advanced Program ~未来を切り拓く次世代リーダーの育成プログラム~」
吉山氏:競争から協働へ、管理職の意識がはっきり変わったと感じています。これまでの研修は情報提供型が多かったですが、今回は行動やマインドが動いた実感がありました。

吉山氏:「自分は部長になれない」「昇進は難しい」など、自分で上を決めてほしくないです。役職に就かないとできないことは多いです。だからこそ、挑戦する女性を一人でも増やしていきたいと思っています。女性のキャリア形成は一見すると公平に見えますが、ライフイベントなどによってキャリアが中断される場面もあり、結果として挑戦の機会に差が生まれることも少なくありません。そうした環境だからこそ、自ら可能性を狭めることなく、積極的にフィールドを広げて挑戦してほしいと願っています。
どんなことでも良いので常に自己研鑽を続け、学びを止めない姿勢が大切だと感じています。自分で限界を決めず、前に進み続ける人材を育てていくことが、これからの組織づくりにおいて欠かせないと考えています。
吉山氏:誰もが同じようなリーダーシップを発揮できるわけではなく、それぞれに得意・不得意がありますし、リーダーシップの発揮の仕方も人それぞれだと思います。「人と違っていてもいい」「自分らしいリーダーシップでいい」と感じられるようなプログラムを期待しています。
市野氏:これまでは、会社全体のマインドセットに働きかけることは、自分にはできないことだと思い込んでいました。今後は、女性幹部育成プログラム(WAP)を通じて得た視点や学びを基に、対話を重ねて意識や前提に向き合い、少しずつでも組織の変化につなげていける力を深めていきたいと考えています。
吉山氏:まずは参加してみることをおすすめします。「費用対効果」だけで判断するのでなく、ひたすら個の成長を見守るための研修であると理解し、淡路島に送り出してあげてほしいと思います。
吉山氏:このような研修は、利益だけを考えれば、御社にとって決して効率の良いものではないのかもしれません。だからこそ、他社にはないこのような研修を、これからもぜひ継続していただきたいです。