ビジネス日本語とは? 主な特徴と外国籍社員の日本語能力向上のために企業ができること

多国籍の人材が働く職場では、言語の壁が業務の効率やチームワークに影響を及ぼすことがあります。実際に「外国籍社員との間でコミュニケーションエラーが多発している」「外国籍社員が敬語や表現などの日本語でつまずき、早期の戦力化が進まない」といった課題を抱える企業もあるのではないでしょうか。
そこで押さえておきたいのが、ビジネスシーンでは単に日常会話ができるのでなく、社会人として信頼を得て業務を円滑に進めるために必要な日本語能力である「ビジネス日本語」が求められるということです。ビジネス日本語を外国籍社員へ教育することで、上述したような課題を解決しやすくなります。
この記事では「ビジネス日本語とは何か」を定義し、その特徴や必要性を整理します。さらに、企業が外国籍社員の定着と活躍を支援するためにできる具体的なサポートについて解説します。
目次[非表示]
- 1.ビジネス日本語とは
- 1.1.一般的な日本語との主な違い
- 2.ビジネス日本語の主な特徴
- 3.ビジネスメール・文書の表現
- 4.会議・商談の場面における表現や話し方
- 5.なぜビジネス日本語が必要とされるのか
- 5.1.企業ができるビジネス日本語習得のためのサポート
- 5.2.現状把握
- 5.3.日本語学習の支援
- 5.4.研修の実施
- 6.まとめ
ビジネス日本語とは
ビジネス日本語とは、仕事をする上で必要な敬語・表現力・語彙・論理性などを備えた日本語運用能力です。業務を遂行するため、また社会人として信頼を得るために必要な言語スキルです。
ビジネスシーンでは、日常会話とは異なる日本語が求められます。適切な敬語表現や論理的な話の構成など、単に意味が通じるだけでなく相手への配慮とプロフェッショナルな姿勢を示す言語運用が欠かせません。
一般的な日本語との主な違い
ビジネス日本語と一般的な日本語の違いは、以下のとおりです。
▼ビジネス日本語と一般的な日本語の違い
ビジネス日本語 | 一般的な日本語 | |
|---|---|---|
使用シーン | 企業・組織間の公的なコミュニケーション | 親しい間柄での私的なコミュニケーション |
目的 | 正確な情報伝達と信頼関係の構築 | 親密性や感情の共有 |
表現 | 業務遂行で必要な表現 上司、同僚、取引先など相手との関係に応じて適切な表現を使い分けることが必要 | くだけた表現や省略形が多い |
特徴 | 業界特有の専門用語や略語、報告・連絡・相談、文書・メール作成で必要な表現が求められる | 文法的な正確さよりもスムーズな意思疎通が優先 |
ビジネス日本語の主な特徴
ビジネス日本語には、以下の重要な特徴があります。
敬語の正確な使い分
ビジネス日本語の特徴的な要素は、敬語の正確な使い分けです。相手や状況に応じて、相手を高める「尊敬語」、自分を低める「謙譲語」、そして丁寧な印象を与える「丁寧語」を正しく運用する能力が求められます。これは、単なる文法の問題ではなく、相手への敬意を示すビジネスマナーの一部とも言えます。
論理的で簡潔な表現
ビジネスシーンでは、効率的な情報共有が重視されます。そのため、論理的で簡潔な表現を使いこなすことが必要です。例えば、報告や説明の際には結論から先に伝え、「結論→理由→具体例」の順序で論旨を構成することが求められます。これにより、誤解を避け、スムーズに理解を得られるようになります。
ビジネスメール・文書の表現
ビジネスメールや文書においては、メールの件名、冒頭の挨拶(時候の挨拶)、結びの挨拶、そして署名など定型化された表現の知識はもちろん、相手との関係性や頻度に応じて表現を使い分けることが求められます。
会議・商談の場面における表現や話し方
会議や商談では、論理的な発言に加え、積極的な参加姿勢や協調性を示し、相手との信頼関係を気づくために、適切な相づち、声のトーンやスピード、間の取り方などふさわしい話し方が求められます。
なぜビジネス日本語が必要とされるのか
ビジネス日本語は、増加の一途を辿る外国籍社員の職場適応・定着、そして即戦力化のために必要です。
外国籍社員の数は年々増加しており、厚生労働省の調査では2024年10月時点で200万人を超えています。この背景から、企業にとって外国籍社員の定着と早期戦力化が大きな課題となっているのが現状です。
この課題を解決するには、業務に直結するビジネス日本語を外国籍社員に習得してもらう必要があります。ビジネス日本語をマスターできれば、外国籍社員の業務効率が高まり、顧客対応やチーム連携においても即戦力として活躍できるようになります。結果として、企業全体の生産性の向上にも寄与するでしょう。
出典:厚生労働省『「外国人雇用状況」の届出状況【概要版】(令和6年10月末時点)』
企業ができるビジネス日本語習得のためのサポート
外国籍社員がビジネス日本語を効果的に習得し、現場で活躍するためには、企業による体系的なサポートが欠かせません。
現状把握
まずは、外国籍社員一人ひとりの日本語能力レベルを正確に把握する必要があります。日本語能力試験(JLPT)のスコアだけでなく、ミーティングでの会話やメールなどのアウトプットの力を確認し総合的に評価することで、対象者に適した学習目標とカリキュラムを設定できます。
日本語学習の支援
基礎的な文法や語彙の指導に加えて、実際の業務シーンを想定したケーススタディやロールプレイを取り入れることで、実践的な力を養うことが可能です。学習と実務を繰り返すことで、ビジネス日本語スキルが定着しやすくなります。
また、ビジネス日本語は一朝一夕で身につくものではなく、学習と実践の継続が不可欠です。そのため、企業は外国籍社員に対し、継続的な学習機会とフォローアップを提供する必要があります。
研修の実施
リソースが限られている場合や、専門的な指導が必要な場合は、外部の専門機関による研修の実施が効果的です。
株式会社パソナHRソリューション『ビジネス日本語研修』では、日本語レベルに応じて選べる「総合コース」、日本語がある程度使える外国籍社員に必要なスキルを選択して教育できる「スキルコース」などをご用意しています。業務ですぐに使える敬語、論理的な表現、そしてビジネス文書作成のスキルを実践的に指導し、外国籍社員の即戦力化を強力にサポートします。
企業の新たな挑戦を、外国籍社員のコミュニケーション力で確かなものにするために、弊社の研修サービスをぜひご活用ください。
まとめ
この記事では、ビジネス日本語について以下の内容を解説しました。
- ビジネス日本語とは、ビジネスの場にふさわしい敬語・表現力・論理性を備えた日本語運用能力
- ビジネス日本語には「敬語の正確な使い分け」「論理的で簡潔な表現」「文書・メールでの相手に合わせた表現」「会議・商談での表現や話し方」などの特徴がある
- ビジネス日本語は、増加の一途を辿る外国籍社員の職場適応・定着、そして即戦力化のために必要
- 外国籍社員がビジネス日本語を効果的に習得し、現場で活躍するためには、企業による「日本語学習の支援」「研修の実施」といった体系的なサポートが欠かせない
ビジネス日本語は、外国籍社員が日本の職場で成功するために欠かせない言語スキルです。その習得は、企業にとっては「外国籍社員の定着」「企業全体の生産性向上」などのメリットにつながります。そのため、企業は外国籍社員の現状を把握し、日本語学習の支援や実践的な研修を継続的に行う必要があります。
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